「芙蓉の人」 新田次郎(著)

 
今のようにアイゼンやピッケルなどといった冬山装備のない明治時代、様々と装備を工夫して氷雪の冬富士を登るのは文字通りの命がけ。氷の滑り台と化してる山頂部で、一歩間違えて滑落すれば決して途中で止まることはない。
 
そこまでしても、己の信念のために冬季富士山初登頂を成し遂げ、私費を投じて観測所を建て越冬観測にまい進する。
 
高層気象観測なしに、天気予報を正確にすることは出来なという使命感に加え、富士山頂での越冬気象観測によって世界記録をつくり、国威を発揚したいという愛国心も強かったはずだ。時代はちょうど世界が帝国主義の波に揺れる日清戦争の頃。
 
そして明治という時代に、女性としての様々なタブーに挑みながら、夫を手助けしたいという一心で富士山頂に追いかけていった千代子の気迫に圧倒される。
 
あの時代に女性が冬の富士山を登るということは、当時の女性の立場も考えればいかに大変なことであったろうか。
 
山頂観測所での二人の生活は壮絶の一言に尽きる。厳冬期富士山頂での寒さは想定をはるかに超えていて、高山病も加わり次第に凄惨な状況となっていく。
 
お互いを思いやる夫婦の愛の深さに胸が締め付けられた。
 
 
 
 
 

サミットガイド宮崎薫Office

認定山岳ガイドによる技術講習とガイディングを通じて、スタンダードな登山の技術と登山の楽しさをお伝えしてます。はじめての登山から、雪山、バリエーションルートまで。今より一歩先の登山へのチャレンジを、安全に分かりやすくサポートします。 日常を脱ぎ捨てて山へ冒険に出かけましょう。