アイスクライミングの基本

アイスクライミングの技術は雪壁登攀にも有効なので、基本的な技術は身につけておきたい。

登り方は、2本のアックスと両足によりバランスを保つX型と、手順を1つ減らし1本のアックスと両足によりバランスを保つY型とがある。

1. X型での登り方
 
2本のアックスと両足でX字型の体勢を作り、バランスを保持しながら登っていく。

① 取り付きに安定した姿勢で立つ。
② 右手アックスを右上に打ち込む。
③ 左手アックスを左上に打ち込む。
  (肩から肘とアックスが一直線になるように。)
④ 打ち込んだアックスにぶら下がり、左足、右足の順に足を小刻みに肩幅より広げて上げ、左手を頂点とした二等辺三角形を作る。
⑤ さらに上がれるバランスなら左足、右足と小刻みに上げる。
⑥ 両腕で引き付けた状態で、すっと立ち上がる。
⑦ 右手アックスを右上に打ち込む。
以下、繰り返し。

2. Y型での登り方

両足を広げ二等辺三角形の底角に置いて、支持する第一のアックスを体の中心線上に置くY型。

① 取り付きに安定した姿勢で立つ。
② 左手アックスを左肩斜め上に打ち込む。
③ 打ち込んだアックスにぶら下がり、右足、左足の順に足を小刻みに肩幅より広げて上げ、左手を頂点とした二等辺三角形を作る。
(2点支持でのダイアナゴナルムーブは、体をひねって左手アックスと右足の対角線上で支持し、左足は切る。)
④ さらに上がれるバランスなら右足、左足と小刻みに上げる。
⑤ 左腕で引き付けた状態で、すっと立ち上がる。
⑥ 右手アックスを右肩斜め上に打ち込む。
以下、繰り返し。
3. 基本フォーム

・できるだけ腕をまっすぐ伸ばす。
・腰を出来るだけ壁に近づけ、少し背中を反らすようにする。
・足は内股気味で両膝は内側に力を入れる(ガニ股にならない)。
・かかとを少し下げることで、ふくらはぎの疲労が抑えられ、フロントポイントが抜けにくい。
・アイゼンを蹴り込む時は、膝を起点にし、蹴り込む時に膝が前に出ないよう注意。靴が氷に当たってしまう。蹴り込む最後の動きで脛を下げるイメージで。
・両足はほぼ同じ高さの位置に上げる。
・足を上げるときは、アックスは手前方向ではなく真下方向に脇を締めて引き付ける。
・蹴り込みはヒザを孤の中心にして回転運動をする気持で。

4. アックスの打ち込み方

・ 肩、肘、手首、バイルのピックを一直線にし、肘を中心に手首のスナップを返し、ヘッドを走らせ打ち込む。ヘッドを走らせるために遠心力を活かす。
・氷を良く見て、出来るだけ氷の厚い凹面をねらう。
・アックスの打ち込みは狙い定めて。氷の穴あれば引っ掛けるだけ。
・肩の延長上か少し外側の、出来るだけ高い、且つ体の中心に近い位置が基本。
・ピックが確実に打ち込まれているか否か下に引張って確認する。

5. スクリューのセットの仕方

①アックスを打ち込んだら、しっかりアックスを握り腕を伸ばしリラックスした姿勢を取る。
②空いてるアックスは落としてしまわないように、スクリューをセットする位置から十分離す。
③ハーネスからスクリューを取り、最も力の入れやすい腰の高さに90度でセット。(スクリュー回収も腰位置で)
④スクリューの刃先を食い込ませる。最初のグリグリ半回転はスクリューを逆手で持ち手のひらで押さえつけながら右左へ2~3回で決める。刃先が食い込んだ感覚があるまで強く押す。
⑤しっかり食い込んだ感覚を得たら、回転を繰り返してねじこむ。
⑥ねじ込みがスタートしたらクランクを回して、ハンガーが氷にぴったりつくまでねじ込む。
・スクリューは最後まで入れる。氷がデコボコで入りきらない場合は、ピックかハンマーで削る。
⑦セットが終わったらクランクを閉じて、クイックドローをかけてロープをクリップ。
・氷に雪が付いていて見えないときは、手で払ってからスクリュー打ち込み。

スクリューで中間支点取っても、氷の状態によっては不確定要素が残るため、フォールしてはならないのが基本。  

6. スクリューでのビレイポイントのセット

①ビレイ点は強度があり、安全でビレイしやすい位置であることが重要。
②最初のスクリューをセットしてカラビナをクリップ。
③クローブヒッチでセルフビレイを取る。
④十分離れた場所に2本目のスクリューをセット(50cm以上は離す)。荷重が適切に分散されるよう60度以内に。
⑤2本目のスクリューにカラビナをセットし、もう1本のロープもクローブヒッチ。
⑥両カラビナにスリングを通して固定分散で支点構築。
⑦ビレイ解除。
⑧ビレイデバイスセットしフォローのビレイ。

7. アックステンションについて
アックスが抜けるリスクを考えると、レストはアックステンションではなくスクリューをまずセットしてしまって、ヌンチャク上部のカラビナにフィフィをかけてテンションしたほうがよい。フィフィはハーネスに装着しておく。

8. V字スレッド(アバラコフ)

懸垂支点が取れない場合、氷に穴を開けて支点とする技術。アイススクリューでバックアップを取るべきだが、最後の人はバックアップがなくなる。強度に不安があって代替ルートで下降できない場合は、スクリューの残置も躊躇すべきではないと思う。

◆必要な装備
・スリング(ロープスリングは7mm以上)
・V 字スレッド用フック
・22cmアイススクリュー
・ファーストショット(あれば便利)

① 60度の角度で1つ目の穴を開ける。
② 2つの穴の始点をスクリューの長さと同じくらい離して2つ目の穴を開ける。こうすると正三角形の形になり、約60度の角度ができる。
③ フックを使いスリングを通して引き出す。
④ スリングをダブルフィッシャーマンズノットで結ぶ。

9. アイゼンのフロントポイント設定

① 長いデュアルポイント
氷の上に積雪がある場合はや傾斜の緩いアイスクライミング用

②短いデュアルポイント
一般的なアイスクライミング用

③モノポイント
ドライやテクニカルなアイスクライミング用
 
 
 

サミットガイド宮崎薫Office

認定山岳ガイドによる技術講習とガイディングを通じて、スタンダードな登山の技術と登山の楽しさをお伝えしてます。はじめての登山から、雪山、バリエーションルートまで。今より一歩先の登山へのチャレンジを、安全に分かりやすくサポートします。 日常を脱ぎ捨てて山へ冒険に出かけましょう。