フィックスロープの目的としては、メンバーの力量不足や安全確保のため設置したり、ロープを張ることで恐怖心を取り除く効果がある。
また危険個所において大人数を通過させるときにはスピーディーで効果的な確保方法。
1. フィックスロープ設置の手順
リーダーは、ザック上部に収納したスタッフバックにロープを押し込め、ロープ終端をザックの隙間から外に出し、カラビナでショルダーストラップにかけて行動。
① メンバーにセルフビレイを取らせる。
② 始点を設置
腰から上の位置が望ましい。立木を想定した固定の仕方としては、
・ロープを立木に回してボーラインノット。余ったロープの末端を利用し、エイトノットでセルフビレイ用のループを作ってもよい。
・スリングをガースヒッチ(タイオフ)やラウンドターンで立木などに巻きつけ、カラビナにダブルフィギュアエイトノットでロープを固定。
・ロープ末端をダブルフィギュアエイトノットにしてから立木などに1〜2回巻きつけ、延びていくロープにカラビナで固定。
など。
③ 中間支点を設置
リーダーがアッセンダーやブリッジプルージックなどで、ザックから出していくロープにセルフを取り、中間支点を設置しながら登る。
・中間支点の結びは、上下移動の場合、エイトノットを採用、横移動の場合、バタフライノットを採用
・立木にスリングをガースヒッチなどで巻きつけカラビナにロープを固定。中間支点の結びは、上下移動の場合エイトノット、横移動の場合バタフライノットが原則。ロープのゆるみは少なく。
(クローブヒッチは、途中でロープ破断が生じた際、解除される範囲が大きくなる。)
・上から通せる杭は3回程度巻くだけでよい。
・鎖のリングへはヌンチャクをかけてロープを通す。
③ 終点の設置
・始点と同じ要領で設置。
・立木への固定はスリングにムンターヒッチ+ミュールノット+オーバーハンドノット末端処理にすると、ロープにテンションを張りやすい。
・リーダーはザックを終点のビレイポイントへ残置、始点へ戻りメンバーの誘導。
④ 回収
・リーダーは始点へ戻り、ロープとランニングビレイを回収しながら終点へ。ザックを背負いロープはチェストコイル。
◆リーダーがザックからロープを出しながら設置するのではなく、スタカット方式でビレイしてもらいながら設置する場合もある。立木で支点を取る場合の手順の一例。
① スリングをガースヒッチなどで巻きつけて、フォローがムンターヒッチでビレイしリーダーが危険箇所を通過。
② 途中の立木にスリングをガースヒッチ、カラビナにロープを通して中間支点とする。
③ 終点の立木にスリングをガースヒッチ、セルフビレイを取ってからビレイ解除コール。
④ ロープアップしてからクローブヒッチでロープを固定。
⑤ 中間がマッシャーで通過。
⑥ リーダーはクローブヒッチでの固定からムンターヒッチでのビレイに切り替える。 ラストはエイトノットをハーネスに結び支点回収しながら最後に通過。
2. 通過の手順
① ロープにフリクションコードをブリッジプルージックで巻く(ブリッジプルージックは解除がしやすい、巻くときに1巻きずつきっちり締めるのがコツ)。
② 60cmスリングをランヤードにして伸ばす(PASなどのセルフビレイコードでもよい、手が届く長さに)。
③ 親指と人差し指でローブをつまみフリクションノットを押しながら登る。
・転落時に結び目は絶対に握らない。
・ロープに全面的に頼らず、ホールドの一つとして使用。
・支点と支点間に複数の人が行動しない。
・転落時に結び目は絶対に握らない。
・ロープに全面的に頼らず、ホールドの一つとして使用。
・支点と支点間に複数の人が行動しない。
④ 中間支点では、もう1枚のカラビナを先にセットしてから掛け替えをする。
⑤ ラストはロープ固定を解除しハーネスに連結。中間支点回収しながら通過。リーダーがビレイする。
3. アッセンダー使用の場合
・セルフビレイコードにアッセンダーを装着して登っていく(両手を自由にする必要がある登攀はビレイループに直接カラビナで装着。但しランヤードで伸ばさないと行動の自由度は狭まる)。
・上下の向きを間違えないよう注意。
・掛け替えはセルビレイコードにもう1枚のカラビナをセットしておき先に掛ける。
4. カラビナ素通しの場合
・状況に応じてカラビナ2枚使って掛け替え通過する。
(カラビナ素通しは、中間支点の前後ロープ両方同時にカラビナ一回通せるなら、カラビナ1枚でも対応可。)
0コメント