ビーコン、プローブ、シャベルは雪山3種の神器と言われ、バックカントリースキーでは今や持つのが常識。
雪山登山でも必携装備とされるが、まだまだ持っていない登山者も多いように感じる。
雪崩ビーコン(アバランチトランシーバー)は、雪崩により雪中に埋没した人の捜索のために作られたトランシーバの一種。
457kHzの微弱電波を利用することが世界的に規格化されており、探知範囲は数十メートルほど。
斜面と雪があれば、雪崩が起きる可能性は0ではない。
安くはない装備だけれどレンタル業者もあり、雪崩の可能性のある雪山に入るのなら装備しなくてはならない。
◆雪崩レスキューの基本的なフロー
① 状況分析
② 雪崩ビーコンによる捜索
(シグナルサーチ→コースサーチ→ファインサーチ)
③ プロービング
④ 埋没者の掘り出し
⑤ ファーストエイド
⑥ 安全地帯への移動
⑦ シート梱包・雪上搬送
1. 必要な装備
・雪山三種の神器
→雪崩ビーコン(アバランチ・トランシーバー)、プローブ、スノーシャベル
・ツエルト
・スリング
2. 雪崩ビーコンの準備
・出発前に電池残量をチェック。80%以上残ってること。
・ビーコン装着は必ずアウター内側。ベルトをタスキ掛けしてビーコン本体を腹部周辺に持っていき、もう一本のベルトでウエスト上部に回し本体を固定。
・雪崩の衝撃でビーコンが外れないように、留め具はバックアップもする。
・電源を入れてセンドモードにしたら、1日中オンにしておく。
3. 雪崩ビーコンのチェック(ダブルグループチェック法)
① メンバーは2m以上の間隔で横一列に並ぶ。
② リーダーのビーコンをセンドモードにして、メンバーのビーコンをサーチモードにする。リーダーはメンバー全員に順番に接近して、全員のシグナルが検出できることを確認する。
③ リーダーはチェックしていったメンバーの最後尾に並ぶ。リーダーのビーコンをサーチモードにして、メンバーのビーコンをセンドモードに切り換える。
④ メンバーは順番にリーダーに近付いて、リーダーはメンバーのセンドモードが正常に作動していることを確認する。
⑤ リーダーは自分のビーコンもセンドモードに切り替えて装着。
4. 状況分析
① 雪崩に流された状況確認
雪崩が発生した位置(発生点)、遭難者が巻き込まれた位置(遭難点)、消えた位置(消失点)を覚えておく。
② さらなる危険がないかの確認。
③ 付近に他のパーティーがいる場合は応援を要請。
④ 雪崩に巻き込まれていないメンバーが複数人いる場合、1人をリーダー、1人を2次雪崩見張り役に立て、他のメンバーは全員で埋没者捜索。
⑤ ビーコンをサーチモードに切り替える。
5. 雪崩ビーコンによる埋没者捜索
① シグナルサーチ
・消失点から下方に向かってビーコンのシグナルを探す。
・他の電子機器は電源を切るか50cm以上離す。
・自分のビーコンを中心に20~30m感知できることを意識して、雪崩跡の上部から下部を捜索。
・複数の捜索者がいる場合、互いの間隔を40m以内として誰かが信号をキャッチするまでまっすぐ下りる。
・埋没の可能性の高い場所・・・残留物近く、段状になってる場所、樹木や岩などの障害物の周囲、デブリの先端、カーブの外側
② コースサーチ
・信号をキャッチしたら、ビーコンの方向指示に従って渦の中心を目指す。
・複数の埋没者がいる場合、最初の埋没者までの距離、方向、埋没者の数がディスプレイ表示され、近付くにつれ高い音量(機種により異なる)。
③ ファインサーチ
・渦の中心に近付いたら、より詳細な位置を特定するためビーコンを雪面に近づける。
・ビーコンの数値が大きくなり始めたら、直線上を後戻りさせて最小地点を確認。
・その位置で、進入してきた方向に対して直交する90度の方向にビーコンを動かしながら最小地点を特定。
④ 複数の埋没者の捜索
・最初の埋没者が特定出来たら、その場から離れずマークボタンを押す。正常にマークされたことを確認。(機種により異なる)
・ビーコンは2番目に強い信号を捜索するので、同じ手順を繰り返す。
6. プロービング
最小地点を出発点として、四角を描くように25cm間隔でプローブを刺して探索。最小地点を中心に2m四方が探索範囲の目安。
① リーダーは作業者をV字状に配置。
② 先頭がとにかく全力で掘り進め、後ろの人は先頭が掘り出す雪を後ろにかき出していくと同時に、自らのエリアも掘って徐々に下げていく。
③ リーダーの指示で時計回りにローテーションしていく。
④ 埋没者が近付いたら慎重に作業。先頭の後ろ2人は埋没者の体全体を出せるような作業に移行。
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